窓から射し込む夕日が眩しくて、目を覚ます。

ぼんやりする頭と一人取り残された病室が いかによく眠っていたかを物語っている。

コツコツ…

暫くすると、誰かの足音がこっちに向かって近づいてくるのが聞こえる。

でもあたしにはそれが誰かが分かる。

だって“大好きなお兄ちゃん”なのだから…

ドキドキしながら、扉の方をじっと見つめる。

「…ヨダレ垂れてる」

扉をガラッと開け、そこに立っていたのは貴だった。

「…垂れてないから」

「でも寝起きだろ?顔がボンヤリしてる」

焦点が合わない顔でごめんねっ!

悪意しか感じられない口調には腹が立つ。

だけど…

「貴… ありがとう」

「あ?」

「小さい頃から支えてくれてたでしょ?」

そこまで言うと、貴は顔をしかめる。

「今日アルバムを見ていて気がついちゃったんだ、“お兄ちゃん”の姿が何年経っても変わっていないことに」