「絹、もう気が付いているんじゃない?

よく思い出して、答えは自分の手の内にあるのよ。

あとはバラバラのピースを繋ぎ合わせるだけで」

「…結局教えてくれないんだ?」

「恋愛も推理小説と同じで、自分で糸口見つけるのが醍醐味なんじゃない?」

タイムリミットが迫っているって言うのに…

「それ、取って」

例のアルバムを膝に置いてもう一度初めから見落としがないよう隈無く探してみる。

ママは簡単にそう言うけれど、あたしが握っているヒントなんてアルバムくらいしかない。

ここになかったら、本当に“お兄ちゃん”に会えない、そんな気がした。




なのに… 見つけてしまった証拠は、あまりに想像を越えた真実を描いていた。

「ママ… お昼寝したいからお仕事行ってきてもいいよ?」

「絹…?」

「母子家庭の現状を知らないの?タイムイズマネーなんだから」

いつかママに言われた台詞をわざと繰り返してみる。

「生意気なヤツ」

彼がこの病室を訪れるまで まだ時間なら十分ある…

あたしはゆっくり瞼を閉じた。