外来の診察が終わり、静まり返ったそこで甲ちゃんがセルフ処置してるのをベッドに腰掛けて見ていた。

甲ちゃんは大丈夫というけど、あたしは溢れる罪悪感に苛まれていた。

この際、あたしの手術はどっちでもいい…

これから甲ちゃんの手で治る可能性のある人の希望が絶たれなかったらそれでいい…!!

「病室まで送ってあげるから ちょっと待ってて… それより」

そう甲ちゃんが言いかけた時、こっちに近付いて来る足音がして

カーテンの向こうに“今は会いたくなかった彼女”が立っていた。

「…あら?お邪魔だった?」

「あやめさん、外傷の処置お願いできますか…?」

ファ、ファーストネーム!?

ただ彼女の名前を口にしただけなのに激しく動揺してしまう。

そんな仲なんだ…

「何で日向くんが怪我してるの!?オペはどうするのよ!!」

「ハハハ… それはどうにでもなります」

何、そのハッタリ!!

「それで絹香ちゃんは巻き込まれたの?二次被害?」

「いえ、あたしが」

「階段から落ちてもスタントマン並にかわせられるだけの運動神経はあったはずなのにな…」

「日向くんには聞いてないから」

あたしのせいで怪我したこと、椎名先生に黙っていてくれたの…?

「あ、ついでに絹のエコーもいいですか?」

そう思った矢先 あたしを巻き込んだ。

女同士の方がいいでしょ?とか言って。

全く女心が分かってない…