「いやぁ、おにいちゃんとあしょぶーっ!」

『ここにいるから、遊ぶのは明日元気になってから… ね?』

そう言ったのに、目覚めた時あなたの姿はなかった…

どこに行っちゃったの?

また会えるんだよね…?




夕方、一人きりの病室で眠りから覚める。

幸い、熱はだいぶ下がったみたい。

なのにすっきりしないのはあの夢のせいなのかもしれない。

「絹香ちゃん、具合はどう?」

担当の看護師さんが様子を見に来てくれる。

「いっぱい眠っちゃったからもう大丈夫です」

「そう、良かった」

…嘘つき。

大丈夫どころか、心までボロボロのくせに。

「あの… 少しだけラウンジまで行ってもいいですか?その… 友達へメール返したくて…」

「う〜ん…」

十分だけって約束をし、廊下に出る。

ごめんなさい、本当はメールなんてどうだっていいんです。

ただ あそこにはいたくない。

心まで暗く塗り替えられそうで、マイナスな感情で支配されそうだから。

さすがにこの前みたいに屋上に行く元気はないから、せめてラウンジで気分をリセットしなきゃ。