「…指輪を選んでたら、確定でしょ?」

「ショック~。でも椎名先生ならまだ諦めつくわ、美男美女だもん」

「病院中の女性スタッフはみんな泣くよ、日向先生が結婚なんて知ったら」

… !?

足が進まない。

それは隣にいる貴も同じらしく、眉をしかめる。

「やっぱり疲れてるから今日は寝てようかなー。貴も勉強あるんでしょ?

あ、それよりT大受けるの?稜南じゃないならバラバラだね」

聞こえない、聞こえない!

話し声を遮るように、わざとまくし立てる。

“日向先生”て甲ちゃんとはまだ決まったわけじゃない。

(可能性は低いが)他にも美男な“日向先生”がいるかもしれない。

「…気にすんな。後で劉兄のとこで待ち合わせてるから問い詰めてやるよ」

貴はいつも意地悪だけど、彼に愛される人は本当に幸せだと思う。

あれだけ貴はない!って自分で言い聞かせておいて ずるい奴。

手を貸してもらいながら病室に戻ると、再びベッドに横になった。