「でも甲斐くんがいてくれるなら安心だわ。ねぇ、絹?」

寧ろママがこの場にいてくれることの方が今のあたしには安心だ。

病気のことだけじゃない。

あんな写真見た後だから甲ちゃんとの距離感も分からないのだ。

「じゃあ、ちょっと会社に顔出して来ようかな。あと、よろしくね~」

そう思った矢先のママの裏切り…

「ちょっと!今から?!」

「あんたねー、母子家庭の現状が分かってないの!?タイムイズマネーでしょうが!」

…万事休す。

「俺も雑用片付けてくるわ」

二日続けて発作起こしたあたしを、二日続けて抱き抱えるなんて、お医者さんなら気にならないのかな。

「何かあったら呼んで」

そう言い残して部屋を出ていく甲ちゃんの後ろ姿はどこか疲れて見えた。