貴の身体を両手で離す。

こういう時の優しさが辛い…

それならば いっそ嫌われた方がまだいい。

「貴、前にあたしに言ったでしょ?好きって…」

…こんな あたしの一体どこが好きなの?

「あたしも貴は好きだよ。だけど恋愛としてじゃない」

…だって兄妹かもしれないんだから。

「ごめんね… 今は一人にして」

こんな時に一方的に思いを伝えるあたしはなんて卑怯なんだろう。

しばらく重たい沈黙が続いた後、貴が口を開く。

「…ちょっと待て。お前、何か誤解してるだろ?」

… ん?

「俺に告られたって調子にのってねー?」

あれ?何だろう、この違和感は。

「お前がもっと巨乳で、スレンダーなモデル体型になったら相手してやるよ」

貴は部屋を出ていき、残されたあたしはただ唖然とするしかなかった。

結果的にあたしが振られたみたいになってる…

何、この不完全燃焼で不発な感じは!!

…しかし、その裏に隠された真実を読み解くことができないあたしは

逆にそれが貴の強がりと気付くことはその後もなかった。