「あんた、本当バカよねー」

その夜ママのベッドに潜り込むと、開口一番にそう言われた。

「気を引きたいなら、もっと他の方法があるでしょう?」

「別に気に止めて欲しいわけじゃないからっ!」

すぐに何でも恋愛に結びつけたがるんだから。

ゴロンと寝返りをうち、ママに背中を向ける。

「いつもは周りの健康な子と同じ扱いされたいって言ってるクセに、

今日に限って病弱な私アピールに見えたのは気のせいかしらね」

痛いところを突かれた…

「ママはね、絹の意思をなるべく尊重してあげたいし、力を貸してあげたい。

でも相手に何かを頼むときは病気を言い訳にしないで?」

「あたしは同情をかいたいわけじゃない!」

話が支離滅裂になってしまうのはあたしがまだ子供だからかもしれない。

はぁーと溜め息を漏らした後、ママは言葉を続けた。

「神谷先生や甲斐くんにも今後の治療のこと言われたでしょ?

余生のこと語るのは全部やり尽くしてからにしなさい」

ママの言うことが正論なだけに、年頃の娘には少々煩わしく感じてしまう。

「その話はもう分かったから、寝るね!」

我ながら可愛気のない返答…

せっかくの貴重な親子での時間なのに。

気を引きたいなら、もっと他の言い方があったのに…