「だから俺達がどうなろうが、お前には関係ないだろーがっ!!」

「関係ないかもしれないけど、でもあたしは家族だと思ってたもん!」

今日の一連の出来事を話すと、貴が声を荒らげた。

こうなることは分かっていたし反省もしているが、貴のキレ方にさっきの告白は嘘だったのかとも思う。

「二人とも落ち着けって…」

やっぱり甲ちゃんは大人なわけで、こういう時でも冷静だ。

「絹が心配してくれるのは嬉しいんだ。でも身体のこともあるし、無理はして欲しくない。

俺はモデルの件は賛成できないな…」

甲ちゃんが言いたいことはすごいよく分かる。

だけど、あたし…

「…あたし、二十歳まで生きられる?」

「「…っ!!」」

小さい頃から付きまとった“生存率”というフレーズ。

もしもそれが正確だとしたら、あたしは“大人”になれない確率の方が高い。

「二人の役には立ちたい。でもモデルを引き受けたのはあたしの保険としてなの」

「え?何かあったらどうするの?」

「何かあった時のためだよ… 遺影としても最高 でしょ?」

ただあたしが生きてきた証が欲しい。

でもそれは やっぱり欲張りとかワガママなことなのかな…

「ちょっと考えさせて」

それだけ言うと甲ちゃんは家から出ていき、結局その晩は戻ってくることはなかった。