「いたた…。」
はじめに目を覚ましたのは遥斗だった。あたりを見回すとそこは以外にもきれいだった。どうやら広間のような所だ。

「う…。」

鳴海も目を覚ます。
鳴海は事が理解出来ておらず、少し混乱していたがすぐに現状を把握した。

「これからどうする?」

「出口を探しましょ」

「そうだな。」

上を見上げるとかなり高い位置から落ちてきたことがわかった。軽く10mはあるだろう。だが、二人に目立った外傷はなく、心配は無いようだ。

「多分こんな地下に部屋があるってことは階段があるはずよ」

「そうだな」

遥斗達は出口を探しにあるきだした。

「今何時だ?」

鳴海が携帯の時計を見る。
どうやら電波は一応通っているようだ。

「9時半よ」

どうやら気を失った時間はそこまで長くはなかった。
しばらく歩いていると、水溜まりのようなものが見えた。
遥斗は不審に思いそっと懐中電灯の光を照らす。

「なに…これ、血?」

鳴海は震え声で喋った。
そこにあったのは血溜まりだった。
赤黒く、生々しいその光景に目眩を覚える。
遥斗も動揺を隠せない。

!?
なにか、来る?
デカイ…

ギシ…ギシ…

嫌な汗が流れてくる。
そしてさらにその音は次第に近づいてくる。

ギシ…ギシ…ギシ…ギシ…

そして二人の上に大きな影が覆い被さる。

「いや…」

鳴海が泣き出しそうになる。
遥斗も膝がガクガクして立つのもやっとだ。

「グルルルル…」

そこにいたのは人形の体長は6~7mはある巨大な黒い怪物だった。
二人は一瞬にして凍りつく。

そして数秒間がとても長く感じられた。
はっ、っと遥斗は我にかえり叫ぶ。

「鳴海!走るぞ!」

「う、うん!」

二人は駆け出す。
お互いの位置を把握しつつおぼつかない足で走った。