壊れた宮殿の残骸の上を泳ぎながら進んで行くと、比較的残骸が少ない空間が見えて来た。

「…あそこ」

深谷君が指さした所に、足を下ろした。

あれ…?

何か違和感を覚えて、首を傾げた。

この下…何かヤバイ気がする…

「…大丈夫?」

ものすっごい心配顔の深谷君が、オレの顔をのぞき込んでいる…

「ははは…大丈夫、大丈夫〜」

ははは…何とか信じてくれたらしい…

深谷君はカメラに辺りの様子をおさめると、ガレキの中に何かを探し始めた。

「何探してるの?」

「…入口」

「地下洞窟の?」

「うん…分かる?」

そう聞かれて、オレはガレキの上を越えていると、ある場所で足が止まった。

胸がざわつく…体に何か嫌なものがまとわり付くように、足元から上がってくる…

しゃがんでその周辺を注意深く観察すると、壊れたタイルやキレイな石が散らばっている中で、一枚の壊れていないタイルが気になった。