「ううん、今日は譜読み…」

「なんだ〜練習付き合ってもらおうと思ったのに〜」

吉高さんの持っている楽譜は、秋の演奏会でひく事になっているメインの曲で、自分がちょうど協奏曲をやる曲だ。

「まだ音が頭に入ってないから…」

「じゃあ、遊びで室内楽やんない?」

カルテットの練習に飽きた白井さんが、提案してきた。

「あ、じゃあ私も!モーツァルトが良いな〜」

退屈していたらしい吉高さんも、話に乗ってきた。

「お待たせしました〜深谷君」

その時…音楽室の扉が開いて、のんびりした口調の先生が顔を出した。

「あ、戸川先生じゃん!」

「え?何で知ってるの、白井。あの先生、高等部の先生だよ?」

6年生の山川さんが、白井さんに質問した。

むしろ、その事を知っている山川さんの方が不思議なんだけど…

「え〜有名じゃん!それより深谷が、どうして仲良さげな訳?」

いや、仲は良くないから…