「ハッ…もうそんな時間ですか?ありがとうございます、先生」

高田さんは、ゆるゆるとした動きで時計を見ると、鍵の束を持って用務員室を出て行った。

「さすがですね〜先生、陛下の事を一番良く理解してらっしゃる」

「いえいえ〜陛下も成長されましたよね…仕事熱心になられたようで、嬉しいです」

確かに…昔の陛下だったら、このスピードで意識が戻って来るのは難しいだろう…いや、そうじゃなくて…

「そう言えば先生、セラと陛下って、どうやって知り合ったんですか?」

山形さんがお茶を口にしながら、たずねた。

いつの間にか自分の前にも、お茶の入った湯飲みが置かれている。

「セラと陛下はセラが働いていた食堂兼、下宿で知り合いましてね〜」

「へ〜陛下が身分を隠して、下宿していたとか?」

自分の知らない話を、二人がし始めた。

「いいえ〜その食堂、夜はセーユの生演奏を売りにしている、お店でしてね〜」

「へ〜まさか…」