「ああ、私が書き置きしたメモでしてね…仕事で出ているので、冷蔵庫のアイスをどうぞって…」

高田さんは説明すると、エプロンを着けながら先生と台所へ入って行った。

「深谷君も食べますよね〜?」

高田さんが、中華メンの袋をつかみながら聞いてきた。

「あ…はい、頂きます」

自分はそう答えると、する事がなく部屋の中を見渡した。

玄関にクツは見当たらず、ハルの来た様子はない…

やっぱり今日も来ないのだろうか…?

山形さんも来ていないし…二人でどこかに出かけたのかもしれない…

自分は小さくため息をつくと、何もない左手首を無意識にさわっていた。

…ウロコが消えてしまえば、もう一緒にいる理由などない事に気づいて、またため息が出た…




「お待たせしました〜どうぞ召し上がって下さい」

高田さんが嬉しそうに、自分の前に美味しそうな冷し中華を置いてくれた。

その冷し中華の具が目にも鮮やかで…