「…ハル…ハル…」

自分を呼ぶ声が、遠くから聞こえてくる…

心地良くその声を聞きながら、再び深い眠りに落ちる手前で、戻って来る事に成功した。

「…あ〜おはよう、深谷君」

「はぁ、おはよう…と言うか、もう夕方なんだけど…」

「え？」

ボンヤリとした意識がハッキリして、真っ白いソファーの上から半身を起こした。

すると、深谷君が通路の手すりにもたれかかって、自分を見下ろしていた。

次に視界に飛び込んできたのは青い海底の世界で、カラフルな魚の群れが気持ち良さげに、光のカーテンの中を泳いでいる…

夕方だと言われてピンと来ず、腕時計を見て、やっと現実の時間を把握する事が出来た。

「え〜と…５０分は経ったから〜あっちは今、４時ぐらい？」

「正解…あんなメモ残して、こっちに来るなんて…あのメモに気づかなかったら、どうするつもり？」

深谷君が眉間にしわを寄せて、自分を見下ろしている…