「…つまり、魔法でこちらと海底の研究所がつながっていて…しかも、こっちと海底との時間差は6倍…で、お前と生島は児童書に書かれていた呪文を使って、海底を脱出した…と?」

深谷少年が話し終えると、絶対零度の視線が深谷少年とハル君に向けられた。

「あ〜詳しい内容は、この本『海底の王国』参照で〜」

フォローのつもりで、持って来ていた自分の著書を坂神さんの前に差し出した。

「ははは…」

一べつされ…笑いも凍りそうになり、本を即行で引っ込めた。

「…生島、お前その話し信じたんだな…」

頬杖をつくと、あきれた顔をして坂神さんが言った。

「ま〜ね、オレ人を見る目には自信があるから」

「…まさか、ハルが自分の話を信じてくれた理由って、それ?」

「うん、ダメ?」

「いや、ハルらしいよ…」

「ははは、ありがと〜」

二人の間に、和やかなムードが漂う…

その間に割り込んだのは、坂神さんの冷たい視線だった。