「…結構だ」

「まぁそう言わずに〜世間話でもしながら帰りましょう」

私は坂神さんの後を追って、用務員室を出ました。

「じゃ〜ね〜修子ちゃん、坂神さん、また明日〜」

用務員室の窓から顔を出して、生島君が手をふってくれました。

「ええ〜そちらも気をつけて下さいね〜」

坂神さんにふり切られないように急いで歩きながら、手をふり返しました。




「…いい夜ですね〜？そろそろ自宅の場所を教えて頂いてもよろしいですか〜？」

私は軽快に車を走らせながら、助手席で沈黙を守っている坂神さんにたずねました。

「…そう言いながら、方向が合っているのはなぜだ…」

ボソリとですが、ちゃんと答えてくれました。

「ほほほ…うろ覚えですけどね〜？」

「…調べたのか？」

「たまたま資料を見る機会がありましてね〜？いつもはどうやって帰っているんですか〜？」

「…電車とバス」

「それは大変ですね〜もしかして一人暮らしですか〜？」

「…調べはついているんだろう…」

不機嫌さ全開で、大きなため息をつかれてしまいました。