「お待たせしました〜坂神さん、まずはお一人で行ってみましょうか?」

「はぁ?ふざけているのか?」

「いいえ〜?しごく本気ですよ〜?」

戸川がニッコリと微笑んでいる…この教師、気が狂っているのだろうか…

この張りぼての扉の向こうに、何があるというんだ…?

自分は扉を開けると、台所のベニアの壁を叩いて、そう言ってやるつもりだった。が…

「え?」

その手は壁に触れる事なく、壁の中へと消えたではないか…?!

「どうやらイースは、この扉から出た事があったようですね〜?」

戸川の手が自分の背中にふれると、そのまま押されるままに、扉の中へと吸い込まれて行った…




「…ふざけている…いや、ありえん…」

「坂神さん、後がつかえるので前進んで下さいね〜」

ぼう然自失で立ち尽くしていると、戸川が自分の横を通って階段を下りて行く…

すると言葉通り後ろの壁の中から、次々と用務員と生島と小学生が出て来るではないか…?!