呼び止められてふり向いたその人は、涼やかな視線を先生に向けると…

「…何ですか?」

と、不機嫌そうな声で答えた。

先生はかまわず手招きをすると、その人を用務員室に招き入れた。

するとその人は、部屋の中にいた人間を見ると、すぐさま帰ろうとした。

「帰る…」

「まぁまぁ、そう言わずに〜私の話に付き合ってくれませんか〜?坂神さん」

「え?」

麦茶を入れるために立ち上がった高田さんと、自分の口から驚きの声が出た。

「まぁ、そうゆ〜事…入りなよ坂神さん…面白い話が聞けるかもよ?」

ハルは頬杖をついて上目使いに彼女を見ると、空いている場所を指さした。

「…面白くなかったら、殺すぞ…」

ははは…とハルは穏やかに笑うと受け流した。

だいぶ、いつもの調子が戻ってきたみたいだ…



「…で?」

ものすごい冷ややかな視線で、坂神先輩は自分達を見渡した。

高田さんがビクリとして先生に助けを求めたが、あっさりスルーされると、先生は言った。