…入るタイミングを失った…

ため息をついて、自分はその場を離れる事にする。



日の落ちた校舎の間を歩いていると、ヒグラシの涼やかな音色に混じって、ラストスパートと言わんばかりにセミが大合唱している…

ふと人の気配を感じてふり向くと、そこには息を切らしたハルが立っていた。

「はぁはぁ…まだ残ってたんだ…」

「うん部活…」

「もしかして、話し聞いてた?」

「…うん」

「そっか〜」

はははと、頭をかきながら笑うとハルが歩き出したので、つられて自分も歩き出す…

無言で歩くハルの後ろ姿を見ながら歩いていると、いつの間にか自転車置き場に来ていた。

「送るよ…」

「うん、ありがとう…」

何も話さないハルの背中を見ながら、自転車は海岸沿いを走り抜けて行く…

「…そんなに聞かれたくなかった?」

ため息混じりに聞くと、ハルは答えた。