二学期の朝…

潮風が吹き抜ける教室に一歩踏み入れたとたん、いつもと違う空気になるのを感じた。

ザワザワとしていた同級生の視線が、あからさまに自分に向けられている…

そして遠慮がちに、リンとした姿勢で席に着いている坂神女史の方に向けられた。

神聖な空気をまとった彼女に、不用意に雑談など話しかけるつわものはなく…

一べつでまとわり付いた視線をふり払うと、冷ややかな視線がオレに向けられた。

「あ…おはよう…元気だった?」

入口付近でボンヤリと立っていたオレは、目をそらす事が出来ずに声をかけた。

「…ああ」

たった一言答えると、彼女はそっけなく目をそらした。

瞬間、フッと力が抜ける…

今、確実に金縛りになってたよ、オレ…

ヘビににらまれたカエルだったよ、ははは…

これはまた、フラれるパターンですかね〜?ははは…

夏休みの間、完全に彼女の存在を忘れていたもんな〜ははは…

「…はよ〜生島、邪魔だ…」

後ろから一部始終を見ていた来生が、オレの背中を押した。