生島君が置いて行かれる子犬のような目で、山形さんを見ているせいですかね〜?

「…また泊まりに来てもいい?」

「もちろんですよ〜」

山形さんは生島君を抱き寄せると、優しく頭をポンポンと叩きました。

あのしぐさ…ロイズ譲りですかね〜?

それから、そのまま生島君越しに深谷君を見ると話しかけました。

「…深谷君、後は任せたよ?」

陽気に片目を閉じて、フクザツな笑みを浮かべると、生島君から離れました。

深谷君は年に似合わない、渋い表情をすると…

「了解しました…」

と小さく答えました。

「じゃ、行きます」

山形さんは満足そうにその顔を見ると、駅の階段を上がって行きました。

「気をつけて下さいね…」

高田さんがその後ろ姿に声をかけると、山形さんは手をふって応えました。

「また来ま〜す♪」


山形さんの姿が見えなくなるまで、誰も動こうとしませんでした…