車の中をのぞき込むその目と合うと、山形さんは笑顔で聞いてきました。

「…乗ってもいいですか?」

「…どうぞ…お話聞かせて頂けますか?」

「喜んで♪」

喜々として車に乗り込む山形さんを見ながら、私は心の中でため息をつきました。

「…で?」

「実はですね〜先生が席を外している間に、高田さんが仕事から戻って来ましてね…開口一番に、『私、思い出してしまいました…先程はフリーズしてしまい、すみませんでした』って言うんですよ」

「…」

「先生が思っているより、高田さんは大丈夫みたいですよ?心配し過ぎなのでは?」

「ほほほほ…で、色々しゃべってしまったという訳ですか〜?」

私はエンジンをかけると、車を発進させました。

さすがに止まった夏の車内は暑苦しく…考えをまとめるには、発進させた車の窓から入ってくる風が良い感じです。

「やだな〜先生、どうして分かっちゃうんですか〜?」

「あなたなら、そうするかなと思いましてね〜?」

「ははははは…」