「わぁお…!」

山形さんとハルから、感嘆の声が上がった。

自分の足が砂浜から離れると、一緒にハルの体も浮かび上がった。

思ったよりも重さは感じない…魔法のなせる技なのだろうか…

ハルがしっかりと自分の体を支えてくれたお陰で、魔法に集中しやすくなり、飛ぶ事に意識を集中させる事が出来た。

じょじょに速度が上がって行くと、ハルと自分は月明かりを浴びて崖の上へと一直線に飛び上がった。

「すごいよ、深谷君!サイコー!天才!!」

ハルはハイテンションで自分の顔をのぞき込むと、広がる景色を見渡した。

自分もつられて見ると、眼下に見える真っ黒な海に月の光が映っていた。

「キレイだね〜」

「うん…」

ああ…ハルとフレアが重なって見える…思い切りデジャヴュだ…

魔法に集中しなくちゃ…ここで落ちたらシャレにならない…

気を引きしめ上を見ると、崖の頂上が見えてきた。

自分は呼吸を整え、一気に上まで飛び上がった。