「そっち終わった〜?」

向こうの方で、先生と高田さんと一緒にゴミ拾いをしていた山形さんが、手をふってきた。

「あ〜はい、あと少しです」

ハルが手をふり返して答えた時、自分の中で何かがフラッシュバックした。

「ハル…ちょっと一緒に来てくれる?」

「え?うん、え?どこ行くの?そっちは崖だよ?」

「うん、近道する…」

自分はそう言うと、夜の浜辺を学校の建っている崖の方に向かって走り出した。

夜空には細い月が浮かび、夏の星座が瞬いている…

規則正しく打ち寄せる波打際に、月明かりが差してキレイだ。

遠くから山形さんが追いかけて来て、何かを言っている…

自分はかまわず崖の下まで来ると、息を整えながら上を見上げた。

「はぁはぁはぁ…ふ…深谷君、足早っ」

浜辺に膝をついて、ハルも息を整えている…

「…行くよ…」

「え?どこに?」

「上…ここを一気に飛ぶから、しっかりつかまってて…」

「え〜?!」

自分は崖の上を指すと、ハルの右腕を両腕で抱え込んだ。