「…夜になると少し涼しく感じますね〜」

夜の学校を歩いていると、潮風が心地良く吹いてきました。

空を見上げれば、上弦の月がこうこうと輝いていて、校舎を明るく照らしています。

人けのない夜の学校というのは、なかなかオツなものですね〜

「先生ごきげんですね〜」

少し元気になった山形さんが、私の歩調に合わせて隣を歩き出しました。

「ふふふ…そうですね〜深谷君のウロコも解決しましたしね〜」

「あ〜そういう意味でしたら、僕もすごい楽しみなんですよね〜」

山形さんは陽気にスキップして私の前で立ち止まると、私の顔を真っ直ぐに見ました。

「…と言いますと?」

「本の続きが書けるな〜っていうのもありますけどね…今回僕らが、どうして前世の記憶を持ったまま、この場所に集まったのかな〜とか?謎解きみたいで、楽しいじゃないですか?」

無邪気に笑う山形さんの顔が、月明かりに照らされてハッキリと分かりました。