「じゃあ、オレと深谷君は、この辺ブラブラしてますよ」

ハルが自分の肩に手を置くと言った。

「ええ〜ではまたここで、落ち会いましょう」

ハルが先生に腕時計を渡すと、先生達は宮殿の方に歩いて行った。

「じゃ、行こうか?」

「うん…」

ハルに促されて、穏やかな海の世界を気ままに歩き始めた。

海底の散歩は浮力で体重をほとんど感じず、ふわふわとした足取りで砂地の上を飛んでいるみたいだ。

ハルは鼻歌を歌いながら、サンゴ礁の中をのぞいたり、魚をつかまえようとしたりと楽しそうだ。

自分はその姿をボンヤリと見ながら歩いていると、美しいフレイヤースの街並みを歩いている幻覚が見え始め…

ハルの姿はいつの間にか、フレアの姿になっていた。

フレイヤースの人々でにぎわう街を、長い金髪の少女が歩いている…

白いドレスが動くたびに、ヒラヒラとゆれてキレイだ…

ありえない光景に、目をうばわれる…

当時、フレアは宮殿の外に自由に出る事を禁じられていた。

国の宝…唯一の後継者だから…