そして高い所から山形さんは、海底を見下ろすと言った。

「…この下に今でも、フレイヤースの街がそのまま残っているんだろうね〜」

感がい深げに言う山形さんにつられて、ハルも海底を見つめた。

実際…フレイヤース宮殿が建っていた崖の高さから考えると、かなり下に街が埋もれているのが想像出来る…

「…オレ、一度だけ幻覚で昔のフレイヤースの街並み、見たんですよね…」

「へ〜キレイだった?」

「ええ、キレイでしたよ…またここに、戻って来れたらいいですね〜」

「へ〜意外だね、ハル君」

「え?」

「だってさ〜君、地上フリークだったじゃん?」

山形さんが降りて来ながら、ハルの顔をのぞき込んだ。

「え〜そうでした?確かに地上は好きだった気もしますけど…花も好きだし、空も好きだし…」

「うん…」

ハルの言葉に相づちを打つと、ハルが自分を見て言った。

「でも不思議と、戻って来たいと思うんだよ…」

「うん…」