楽器をやってる方というのは、皆さん器用な方が多いですよね〜

生島君はあっさりその作業を終えると、近くの机に腰を下ろして話しかけてきました。

「ねぇ、修子ちゃん…オレがさ〜前世の記憶を思い出さない理由って、何だと思う?」

私も向き合うように、近くの机に腰かけると答えました。

「そうですね〜生島君はどう思いますか?」

「え〜?分からないけど…もし高田さんみたく、気がふれてしまうような事があって、それで思い出したくないとかだったら…」

「…だったら?」

「どうしよう…なんて」

珍しく気弱な生島君が、上目使いで呟きました。

「なるほど…確かにそれは、ちょっと怖いですよね〜」

「でしょう?」

「ふふふ…でもきっと大丈夫ですよ〜?何も、思い出すのが当たり前な訳でもないですしね〜?」

「まぁ、そうなんだけどね〜」

「それよりいいんですか?深谷君を、送って行くんでしょう?」