「オレがやるから、修子ちゃんは休んでて…」

「さ〜行ってみよう〜♪」

山形さんのかけ声で、オレは深谷君の体を控えめに回すと、深谷がフラフラと歩き始めた。



何かの呪いか…修子ちゃんの言葉通り、スイカは一巡しても割れる事なく砂浜に鎮座していた。

真夏の日差しに焼かれたスイカは温まり、いい加減に割れないスイカを見て、誰でもいいから割ってくれ〜という感じになっていた。

「では僕、割っちゃいま〜す」

やけくそ気味に言う山形さんを、ダレ気味に見守っていると、ふり下ろされた木刀がポコンとスイカに命中した。

「やった〜?!」

大喜びして、山形さんが目隠しを取った。

「あれ…今、当たったよね?ね?」

「はい…当たりましたが、力およばずですね…」

オレは、ははは…と力なく笑って答えた。


日が傾きはじめた頃…高田さんの奇跡の一撃でスイカは割られ、大感動のうちにスイカ割りは終わった。

汗だくになった体にスイカは甘くて美味しく、夏最高って感じだ…

「美味しい?深谷君」

「うん…」

暑い中…涼しい顔をしてスイカを食べている深谷君の顔が少しゆるんで、ちゃんと小学生に見えて安心した。