「ハル、こっち…」

「がんばって下さい、生島君、左です左〜」

違う方から、深谷君と高田さんの声が聞こえてきた。

「あ〜そっちは海ですよ〜」

と修子ちゃんの、のんびりした声も聞こえてきた。

足元に波がかかり、あわてて反対の方へ行く…

音だけを頼りにスイカまでたどり着くのは、思いの他大変だ。

こつんと、木刀の先にスイカが当たる音がした…

慎重にスイカの位置を確かめると、勢い良く木刀をふり下ろした。

「おぉ…」

どよめきが起こった。が…

「あれ?」

ぜったい当たったと思ったのに、思い切り空ぶりをして砂の上を叩いていた。

目隠しを外してみると、全く違う場所に木刀はふり下ろされていた。

「ははは…次、がんばってね」

オレは深谷君に、ハチマキと木刀を渡した。

「うん…」

スタート地点に着いた深谷君を見て、修子ちゃんがやる気満々で出て来た。

「では私が、回す役をやりましょうかね〜」

「それだけは、やめて下さい…」

目隠しをする手を止めて、キッパリと深谷君は断った。