「あ〜深谷君、いつの間に〜」

山形さんもやっと気づいたようで、胸に地球儀を抱えながら、浜辺を向くと泳ぎ出した。

オレも海水浴は充分楽しんだので、山形さんの後について浜辺に戻る事にした。

そして、山形さんは海から上がるとナゼか突然、深谷君に向けて思い切り地球儀をアタックした。

「そ〜れ!」

そのボールは放物線を描いて、深谷君のいる大きな木へと飛んで行くと、深谷君の頭上を越えて木の枝に見事に引っかかったではないか…

「あ〜あ、やっちゃいましたね〜」

オレは木に引っかかった地球儀を見上げながら、深谷君の隣に腰を下ろした。

バックからタオルを出して体をふいていると、目の前で膝を着いた山形さんがうな垂れながら言った。

「…どうしよう、ハル…ぶっちゃけ僕、木登り出来ないんだけど…」

「ははは〜そうなんですか?オレもですよ〜」

「ははは…深谷君は?」

「生まれて初めてですね…」

「そっか〜最近の子は、木登りしないか〜ははは…」