「何なんだろうね?問題とか知らせているのかな〜?」

「ううん、たぶんそれはないだろうって…」

「そっか〜なら良かった」

ハルが山形さん越しに、穏やかに笑った。

「でも、こう次から次へと何か起こると、気になって帰れなくなっちゃうな〜」

山形さんは最後の洗い物をハルから受け取ると、そう言った。

「え?山形さん、帰っちゃうんですか?」

「え?そんなに驚く所?僕がいないと寂しいとか〜?」

「いいえ、そうじゃなくて…ただ、本を書き上げるまでいるのかと思っていたから…」

きっぱりと否定され、山形さんは軽くうな垂れると答えた。

「…そうしたいのは、山々なんだけどさ〜さすがにうちの出版社は、そこまで甘くなくてさ〜とほほ…業務が僕を待っていたりするんだよね〜ははは…」

山形さんが、ふき終わった食器をお盆に乗せ玄関の外に出すと、居間で休む事にした。

「大変なんですね〜作家さんて」

「いや〜僕が異レギュラーなだけなんだけどね〜」