「…山形さん、大丈夫ですか?着きましたよ?」

「…へ?」

ハッとして辺りを見渡すと、そこは宮殿の中で、壊れた壁や柱が横たわり、元の姿がどんなに美しかったか…面影さえもない…

ハル君が心配そうに自分の顔をのぞき込む薄茶色の瞳に気づくと、トリップしていた事に気づいた。

「ごめんごめん、ちょっと飛んでたわ〜」

あははと笑って、ハル君の瞳を見返した。

「そうですか〜具合悪くなったのかと思いましたよ〜」

「それは君でしょう?大丈夫?」

「ははは〜それは言わないで下さいよ〜大丈夫です!」

照れ笑いをしながら、ハル君は頭をかいた。

昨日、この近くで気を失ったと聞いてはね〜

「山形さん、何か感じませんか?」

「うん…ぜんぜん、全く、つゆほども…」

何かしら感じるものが、あるのだろうか…

ハル君は気合いを入れると、見取り図を僕に見せた。

「たぶん、この辺だと思うんですけどね〜」

ハル君が宝物庫のあった部屋の位置と、現在地を見比べて言う…