「あ〜山形さん!」

ハルの声に気づいてふり向くと、けだるい笑みを浮かべた山形さんと、作業着姿の高田さんが玄関に立っていた。

「お疲れ様です、高田さん。お邪魔しています」

先生が笑顔で二人を出迎えた。

「そこで偶然、お会いしましてね」

高田さんが麦わら帽子を取りながら用務員室に入って来ると、麦茶を入れてくれた。

「はい、これ差し入れです」

と言って、山形さんがアイスをちゃぶ台に広げた。

「わ〜ありがとうございます、仕事もういいんですか?」

そうたずねたハルの隣に、山形さんは座ると答えた。

「うん、ちょっと息抜きしないとね〜トリップしたまま帰って来れなくなるからね〜ははは…」

「え〜本当ですか?」

「…で、今日は何があったの?」

山形さんが好奇心いっぱいの瞳で、たずねてきた。

「ははは…高田さん、シャワー借りていいですか?」

ハルが思い出したように言った。

「ええ、どうぞ」

「深谷君、お先〜」

そう言ってハルは、風呂のある奥の部屋に入って行った。