帰りの車内、何か忘れているようでモヤモヤする。
ふと看板に出てきた、日本ハムの看板で思い出す。
「……あ、ハム子忘れた」
呟くようにそう言うと、隣で仁菜が大きな声を上げた。
「あーっ!彰人さん戻って」
「もう実家に置いとけば」
「そんなっ、私達の子ですよ」
「その割に今忘れてただろ」
「きょ、今日は色々あったから」
どもる仁菜にへぇーと抑揚なく答える。すると、何やら隣できゃんきゃん言い始めた。
さっきまで、一瞬でも愛しいと思ったのに、もうなんかうざったく感じる。
「彰人さん聞いてますっ!?」
「ごめん9割聞いてない」
「それ、ほぼほぼ聞いてないじゃないですか!」
これからまた、あの騒がしい日々が戻ってくる。
正直俺はやっぱり、静かなのが好きだし、人に干渉されるのはまだ苦手だ。
でも、大事にしていかなきゃいけない。
一人では、この子なしでは得られない温かい気持ちがあることを知ってしまったから。
Baby boo! 完