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ゴジラの来訪にびくびくしていたら彰人さんから、もう来ないよと言われた。
2人の間で何かあったようだけど、この時ばかりはさすがにそれ以上聞けなかった。
また二人での生活が始まった。だけど基本、彰人さんは一人が好きな人。前回の、人肌恋しい、発言は弱気になっていたから出たものであって、根本的な本質は変わってない。
なんとか振り向かせたくて、寝てるベッドに忍び込むなんていう捨て身にも出たけど全く効果なし。
彰人さんという存在を聞かされて育って、まるで私にとってサンタさんのような存在だった。それが現実に会えて、今こうして一緒に住んでいるなんてなんたる幸運。そしてチャンスでもあった。
だけど彰人さんは私を完全にペット扱いしていて、望み薄なのも分かってる。それでもたまに見せる不器用な優しさに完全にノックアウトされてしまい、この上なく膨れ上がってしまった好きという気持ち。
もう自分でもどうしていいか分からなかった。
朝、鼻歌を歌いながら彰人さんの弁当をこさえる。
「ふー、ふふふふーふふー、とーなりどおし、あなーたーと、あーたし、さくらんぼっ」
最後に、さくらんぼにちゅっとキスをしてお弁当箱に入れると、たまたまちょうど起きてきた彰人さんに目撃される。その光景に目を疑うような表情をして、その場に硬直していた。
「今、何した」
「おまじないだよ?」
「お前、今までのお弁当全部にこんなことしてたのか」
「愛情たっぷりこもってますからね」
えへっと照れ笑いすると、鬼のような形相でそのサクランボを抜かれ違うものにすり替えられる。
少し露骨過ぎるだろうか。前、こういうことばかりするから追い出されるんだ、と言われ、ちょっと気になってたりする。
だけど、もう溢れる好きをおさえられなくて、どうしようもないのだ。
ソファーで新聞を読んでいる彰人さんに目覚めのコーヒーを淹れ、テーブルの上に置く。そして、いつものように横に座ってその肩に頭を置いてくっつく。
「はぁー……」
と悩まし気なため息をつくと、彰人さんから鉄槌が降りてきた。
「なんの嫌がらせだよ、おい」
「嫌がらせじゃないです、甘えているんです」
「それが嫌がらせだろうがっ。あんまりいきすぎるとまた水嶋んとこに連れて行くぞ」
「そんなっ、そしたらこの気持ちをどこにぶつけたらいいんですかっ」
そうやって彰人さんの胸元のシャツにしがみつくと、あからさまにドン引きされながら引き離された。