その後服をひんむかれ、無残にもルリルリの恰好をさせられた私。変態はというと、嬉しそうに高そうなカメラでそんな私の写真を何枚も撮っていた。

「……もう、こんなんじゃお嫁に行けない」

「ルリルリちゃーん、はいこっちだよー。にこって笑ってー」

「ルリルリじゃないっ、仁菜っ!」

「怒った顔も可愛いねー」

そう言って何度もシャッターを切っていく。

「……なんで彰人さん帰っちゃったの?そんなにあの人が大事?あんなにおっかないのに」

この期に及んでグズる私に、やっと変態の手が止まった。

「あぁ、涼香さん?」

「知ってるんですか?」

「まぁ、外科部長の娘さんだし。先輩から話聞いてるだけだけど」

「彰人さんは本当にあの人のこと好きなんですか?」

「うーん、好きじゃないんじゃない?」

「じゃあ、なんで?」

「前に俺も聞いたことあるけど、恋愛とか、結婚とかどうでも良いんだって。そういうのが破綻した家庭にいたからって。だから別に涼香さんでも良いって思ってんじゃない?」

「じゃ、仁菜でもいいじゃん」

「え?君?ダメでしょ?」

「なんで?」

「だって、君、彰人さんにとって手のかかる騒がしいペットって感じだし。心配はするけど、あの人基本面倒ごと嫌いでしょ?涼香さんだったら、外科部長の機嫌も取れるし、お互い仕事が忙しいから結婚してもすれ違いの生活になる。性格はどうあれ、一人が好きな先輩にはぴったりの相手」

「そんな……」

「あれ?落ち込んじゃった?」

「はい、今日は笑えそうにないので、また明日にしてください」

「分かった、また明日ね」

「あの、私の服、返してもらえませんか?」

「返したら出て行っちゃいそうだからだめー、これは人質だよ」

「えっこれで寝ろと?」

「僕の部屋着貸してあげるよ」

「はぁ」

そう言って渡された一枚のTシャツ。やっとルリルリの衣装から解放されてそのTシャツを着るが、私にはデカすぎて、ワンピースとまではいかないがチュニックのようになる。しかし、少し頭を下げるとパンツが見えそうで気が気じゃない。下のズボンを要求しようと、モジモジしながらリビングへ戻る。