あーあ、一瞬でもこいつに悪いことしたなと思ったのに。
とりあえず契約した分の新聞代はあいつに払わせよう。
「こんな気難しい先輩より、俺んとこに来た方がずっと暮らしやすいと思うんだけどなー」
「そうだな、こいつんちゲームやら漫画やらいっぱいあるだろうから、気が合う者同士楽しいと思うけど」
「い、嫌です……っ」
俺の目をじっと見つめて、必死に訴える。
しかし、なんでこいつは水嶋の目を見ようとしないんだろう。
ちょっとオタクっぽくておかしなところはあるけど、お前と同類じゃないか。
人見知りするような奴じゃないと思ってたんだけどな。
まさか、ひょっとして……。
しかし、聞こうと思っていたところで、ツインテールの店員に腕を引かれて連れて行かれてしまった。
仕事そっちのけで話しこんでいるこいつに、さぞかし業を煮やしていたのか、その店員の目は笑っていなかった。
あいつがいなくなると、がくっとうなだれる水嶋。
「さすがに、そんなに拒否られるとショック……。俺何か嫌われることしました?」
まぁ、るりるり連呼は気味悪がられるだろうけど。
あいつだって変人の分類、こいつと同じようなタイプなのに、どうしてこうもこいつを避けようとるするのか。
やっぱり……。
思わず、ニヤついてしまう。
「恥ずかしがってるだけかもよ」
「え?」
「あいつ、人見知りとかしないはずなのに。これだけお前と目合わせないのはやっぱりおかしいし」
「まさか、それって。俺に気があるってことですかっ?」
「わかんねぇけど」
水嶋はそんな俺の憶測を聞いただけで、分かりやすい程喜んでいる。