夜勤明け、目覚ましなしで昼間から寝続け、起きたのは夕方の6時だった。
冷蔵庫を開けて、ペットボトルの冷え切ったミネラルウォーターを飲む。

すると俺が起きてきたことに気付いたのか、すぐ横に仁菜がやってきた。


「彰人さん、お腹すいてますか?」

そう言う仁菜。

「何?作ってくれてんの?」

料理できたのか。
しかしキッチン周囲を見渡しても、手作り料理らしきものは見当たらない。
今開けている冷蔵庫の中を探してみても、それらしきものはない。


「いえ、これあげようと思って」

そう言って渡された一つの菓子パン。

「……何だ、これ」

「クリーム&苺ジャムパンです」

見りゃ分かるわ。
包装にでかでかと書いてあるし。

「なんですか?あんこ&バターの方が良かったですか?」

そう言って、もう一つ菓子パンを出してきた。

「いや、そういう訳じゃなくて……」

「よろしかったらお二つどうぞ」

少しあんこのパンを惜しそうに見ながら俺にくれようとする。


もういい自分で作ろ……。

二つのパンを仁菜に突き返し、何が作れるか冷蔵庫の中を眺める。

ホウレン草に、ぶなしめじ、残り物の鮭……。
適当にパスタでも作るか。

熱したフライパンにバターを溶かして、材料を炒め始めた俺を後ろから覗き込んでくる仁菜。

「言っとくけど、お前の分は作ってないからな」

甘やかして毎回作らされるはめになったら面倒だ。


「大丈夫です、私には大好きな菓子パンとプリンがあるので」

そう言って冷蔵庫の中から、ぷっちんプリンを取り出す。
そして、カップから皿にプリンを出した。