私はというと自分の部屋に戻り、ダンボールを開けながらうんうん唸る。


まぁ彼女になりたいなんて冗談。
そもそも無理な話だっていうのは自分でも十分分かってる。

けどさ、いきなり兄妹だって言われて、戸惑うのはしょうがないけど。

血が繋がってる以上妹と認められたい。

そして、もうちょっと優しくして欲しいっ。

欲を言えば、もっと可愛がって欲しい!頭を撫でて、にこやかに笑いかけて欲しい!

そして、私はそんな彰人さんに存分に甘えたい!

……おっと、いけない、私のお兄さんへの想いが暴走してしまった。


昔、お母さんが教えてくれた。

『にいなには、頭が良くてかっこいいお兄ちゃんがいるんだよ』

『そうなの?どこにっ?にいな、会いたーい!』

『ごめんね、それは難しいんだ。だけど、にいなが良い子にしてたら会いにきてくれるかもよ』

『本当!?』

なんてうちではサンタさんのような存在だったお兄ちゃん。
だけどいつまでたっても会えないし、お母さんの嘘だったんだろうと思ってたら、まさか本当にいたなんて。

だから嬉しかった、本当に彰人さんっていうお兄ちゃんに会えて。

すごく、すごく嬉しかったのに。

だけど、彰人さんは…………


一瞬、落ち込みそうになって、すぐに自分を奮い立たせた。

いけない、いけない。
後ろ向きな考えはなしっ、現実を直視せず都合良く前向きにっ!

それが私のモットーだ。
まぁ、ろくでもない考え方だけど。

だって現実なんて辛いことばっかで、真面目に考えても落ち込むばっかでいいことないんだもん。


……大丈夫、絶対認めさせてやるっ!
期限は一ヶ月!

それまでに、一緒にここで暮らさないかって言わせてやる!