研暦25年10月2日
 玖珂井 臥龍[クガイ・ガリョウ]は
高2になって1回目の期末テスト最終日を
迎えていた。

 残すところあと
1科目というところで、
彼は大いなる壁に直面していた。


(わからねぇ……。

でも、
これさえ解ければ
100点とれるんだよなぁ、確実に)


 ラスト1教科は世界史。
 解けないでいるのは、
修学旅行先に指定されているイギリスの
某有名バンドの面々が歩いていたとされる
歩道の位置だった。


 玖珂井はこの問題を読んでからずっと、
解答用紙の隅に印刷された
イギリスの地図を見ながらため息をついていた。

(いくら修学旅行で回る箇所だからって……、
テストに出すかフツー?)


 どう頭の中からひねくりだそうと
してもわからない問題であるその1問に
苦戦していた玖珂井は、ここで1つの悪知恵を働かす。


(そうだ、
僕には異能があるんだった!)

 彼には異能があった。

 そしてその異能は、
彼が所属する私立星螺[セイラ]学院高校と密接な関係があった。