幽の仕事は手順の1番始めの
《洗脳からの勧誘》で、
その次には《移住命令の伝達》、
《住人登録の手続き指示》と続く。

 フールズの王は、
この流れの中でとりわけ肝心な
《洗脳からの勧誘》という仕事の1項目として
設定しているノルマ――征服計画
のチームメンバー1人あたりに
課される勧誘人数の達成の件で
呼び出してきたというのである。

『仕事をやってからもう1週間が経つというのに、
お前はまだ、1日のノルマをただの一度も達成してないそうじゃないか』


 幽の場合、ノルマ達成まであと2人というところまできてはいたのだが、

「すいません! 

次のターゲットの洗脳に苦戦しておりまして……」



 土下座して謝るも、王は微笑みをみせてはくれない。

『その、次のターゲットってのは、
お前の職場がある星螺ってところか?』


「はい」

 幽はわずかに目線を上げ、つぶやく。

「どうやらその都市の人間は、
異能が使えるらしく、攻撃をしかけてくるのです」

『攻撃か。
もしや、星螺の人間は、

お前が何者であるかを知っているやもしれん』