日曜日。
金曜とは打って変わって、春らしい木漏れ日が暖かい。
「誰か、、いるかな…」
昼間のル・ルヴェ・デュ・ジュールを目の前にして、私は一人、呟いた。
裏口の駐車場はがらんとしていて、車は一台も停まっていなかった。
―もしかしたら、誰も居ないかもしれない。
それがわかっていながら、夜に訪ねる勇気はなかった。
まだ、中堀さんに会うのは、怖い。
けれど、タカから話を聞いて、居ても立っても居られなくなり、様々な葛藤をしつつも、気付けばここまで来てしまっていた。
別れ際の記憶は、まだ昨日のことのように私に刻み込まれていて、気付かないふりをしていても、胸がチクリと痛む。
―どうして来ちゃったのかな。
来た所で、自分が何をしたいのかもわからないのに。
「裏口は、インターホンみたいのとか、ないのかな。」
正面もとりあえず回ってみたが、開いている気配はなかった。
けれど、裏口はあの日を思い返すには十分で、私はドアノブを見つめたまま、自分の顔が強張るのがわかる。