「これだ!」
 図鑑を開いたまま少女に渡したマタナイは、要領の悪い少女に呆れ返っていた。
「まったく要領の悪い。こんな簡単なことも出来ないのか!?」
「そ、そんなこと言わないでよ。私だって一生懸め・・・」
 少女は突然泣き出し、マタナイはやれやれと更に呆れるばかりであった。
「わかったわかったもう泣くな。オイラ一人で探しておくからここで休んでな」
「・・・うん」
「あ、そうそう。この湖には落ちるなよ。この湖は不純物一つないから入ったら底まで落ちるぞ」
 そう言い残したマタナイは一度少女から離れ、一人ポツンと取り残された少女。
 あんな言い方しなくても。
 少女はマタナイの失言にまた涙がこぼれ落ち、しばらく涙が止まらなかった。