「・・・葵?」
「やっと起きた。どうしたの朝から?」
「う、ううん。・・・・・ねえ」
「なに?」
「・・・・・いや、やっぱりいい」
「そんな言い方したら気になるじゃん。教えてよ」
「・・・担任の豊田先生なんだけど」
「アレアレもしかして友樹を諦めちゃった?」
 いや違うから・・・。
 少女はチラッと松永友樹という憧れの人に目をやり、笑った友樹を見ると少女のドキドキが止まらない。
 あ、違った。
 正気に戻った少女は葵の手を掴み、決意を決めた目を見せる。
「どうしたの?」
「あ、葵・・・。実はね・・・」
「実は?」
「・・・・・」
 少女の行為は周りに注目を集めていることに気づき、急に恥ずかしくなったのか口ごもった。