春、オレ「熊谷智哉」(くまがいともや)(14)は中学三年生になった。ちなみに野球部のエース。


この日は入学式の前日で式の準備をしていた。「なぁ?入ってくる一年ってかわいいのかな?」といつものように蓮が声をかけてきた。「さぁ?俺は恋愛に興味がないしましてや一年なんて」

蓮とはオレの親友である佐々木蓮(ささきれん)である。

ちぇー、お前はいっつもそうだよな~」といつものように会話が進む。

入学式当日。二年生と三年生は先に来て新入生を迎える準備をしていた。オレはいつものように遅刻して先生に注意され席についた。「お前また遅刻かよ」と蓮が言う。「まぁーな」と自慢げに答えた。

新入生が入場します。アナウンスがかかった。

「おい来るぞ!」と、蓮

オレは興味がなかったがチラッと新入生を見た。その瞬間オレはフリーズしてしまった。
先頭の女子に目がいった。
そいつが通り過ぎて行く。
初めての感覚であった。女子をこんな風に思うのは今までに一度もなかった。

あーこれが恋って言うのかと思った。

これがオレの初恋であった。
入学式から一週間程が経った。
オレはその日からそいつとは会うことがなく、まだ名前も知らなかった。

そんなとき三年生が一年生に学校の行事などの説明をしにいくことになった。

オレはチャンスだと思った。

蓮に「おい一緒に説明会立候補しようぜ」と言った。

蓮は「えぇーめんどくせーよー」といつものように会話が進む。

先生が「誰か立候補いないかー?」と募る。

オレと蓮が手を挙げた。

先生は「お?お前らがこんなことやるなんて珍しいな!」とバカにしてくる。

蓮は「オレはナンパしにいくんですよ!」と冗談をかました。

「はいはい、お前ら真面目にやれよ」と呆れたように言う。


オレ達は昼休みが終わり一年生教室に向かった。

あいつは入学式の時に一番前だったのでA組だということは分かっていた。

教室の前には新入生の名前が出席番号順に張り出されていた。

...
阿部香菜帆と書いていたがオレには読めなかった。

「おい、いくぞ」と蓮が言い教室に入る。

教室に入るとオレは早速そいつを目で探し回った。
......
「あ!こいつだ!」そいつを見つけた。

蓮が行事について説明をしている中オレはそいつに夢中だった。

説明が終わると一年生一人一人自己紹介をはじめた。


淡々と進みそいつに回ってきた。

「阿部香菜帆(あべかなほ)です。よろしくお願いします。」と言った。


「かなほって言うんだ~」と心で思っていた。



キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り説明会が終わった。
恋するとどんなことでも気にしてしまうんだな。と思った。


あれから1ヶ月が過ぎた。
体育祭ではオレは組団長になったがかなほとは同じ組団になることはできなかった。(ちなみにレンは副団長)

俺達のチームが総合優勝を果たし無事に体育祭も終了した。
体育祭が終わり一週間後五月の半ば、オレはいつものようにレンと話ながら歩いてると前からかなほともう一人が歩いてきた。
「あ、お兄ちゃん!」ともう一人の女子がレンに向かって呼ぶ。

オレはレンに「妹?いんの?」と聞いた。
レンは「ああ。二個下のうるせーやつな」
彼女の名前は佐々木未来(ささきみく)というらしい。
ミクは「よろしくお願いします!」とみんな見てる前で大きな声で言った。

オレは慌てて「おっけおっけよろしく」と焦りながら答えた。隣にカナホがいたがその時もオレは照れ臭くて話しかけれなかった。

結局2ヶ月経ってもカナホの事は好きでいたがまだ、声をかけれなかった。

恋って難しいなと思った。
あれから少し経って6月。
オレは野球部に所属しエースであったが、最後の大会も負けてしまい三年間が終わってしまった。

野球が終わり野球漬けの日々が終わったがとても寂しい気持ちになった。

6月の終わり。この日は職員室に用事があり、廊下を歩いていると美術室で声がしたので覗いてみた。「あ!!ともやさん!!」と大きな声で呼ぶミクであった。
やはり、その隣にはカナホがいた。
美術でデッサンをやっているようだった。
「お、見せてー」と言いミクに絵を見せてもらった。
とても上手かったが「んーオレの方が上手いな!」と言った。
ミクは「えー!!絶対ミクの方が上手い!!」と自信満々に答える。
オレはミクの絵に夢中になっていた。
するとかなほが「カナのもみてくださいよー!!」と言ってきた。
カナとはカナホのあだ名みたいなものである。
ちょっとミクのに夢中になっていて自分のも見てほしかったんだと思う。


オレはカナホの絵を見た。
ミク程ではないが上手かった。
オレは「おー!すんげぇ上手いじゃん!」と絵を見て答えた。
ミクがそれに対して文句を言ってたんだと思うが、オレはカナホと話せた事が嬉しくてそれどころではなかった。
カナホも恥ずかしそうにしていた。オレはその姿を見てさらに惚れてしまった。

結局オレから話しかけることはできず、カナホの方から話しかけてくれた。

男より女の方勇気あるな~と心で思った。