そのあと玲央はいつものように笑って、ずんずんと階段を降りてく。
髪の毛を整えながら、私の頭の中も整理する。
えーと…。
“好きにさせてやる”
……具体的に……どういう意味…?!
………よく分かんないや…。
「あれ、太陽どうした?」
玲央の声で、気が引き戻される。
「ちょっと人探してんだけど……」
なにやら人を探してるみたいで…。
そのあとの会話は廊下の声でかき消されて、何も聞こえない。
すると、階段を上がってくる音が近づいてくる。
玲央かな?
どうしたんだろ……。
「保坂!」
私の目の前にいたのは、太陽だった。
「どうしたの…?」
なんだか太陽は、どこか悲しそうな顔をしながら、驚いたような声をして、
「結城と付き合ってんのか?!」
言った。