アレン様が少し離れたその隙に、壁とアレン様の間から抜け出す。
「な、何するんですか!」
すぐに距離をおき、息を整えながら尋ねる。
しかしアレン様は無表情のまま、また此方に手を伸ばしてくる。
気がつくと、
「いやっ!」
その手をはじいて、部屋から逃げ出していた。
長い長い廊下を、与えられた部屋目指し走っていると、誰かと衝突し、尻餅をついてしまう。
「す、すみません!お怪我はありませんか?」
「いや、こちらこそ。」
ぶつかった相手はそう言って手を差し出す。
その声に聞き覚えがあり、顔を見るべく、視線を上げると、
「シオン王子様!」
「え?あぁ、君か。」
先ほど説教?をした、シオン王子様がいた。