「あ、あの?」
私がアレン様を見上げると、アレン様の顔がスッと近づいてきた。
「後でお仕置きだな?」
ボッと顔に熱が集まってくるのを感じた。
そんなことは露知らず、アレン様は男の人に視線を合わせる。
その瞬間、アレン様のまとう雰囲気が変わった。
「我が妃にダンスを申し込むなど。無知にも限度がある。」
その言葉と、アレン様の鋭い眼差しに私も含め、会場の全員が顔を真っ青にした。
「ア、アレン様!私は大丈夫ですから!」
このままではまずいと思い、苦し紛れに言うと、アレン様はしばらく私をみて、口を開いた。
「今回は葵に免じて不問にする。ただし、2度目はない。」
「はい、申し訳ございません!」
男の人の謝罪の言葉を最後まで聞かず、私の腰に腕を回したまま、歩き出した。
つまり、私も一緒に歩き出した。
ポカーンと口を開けているパーティーの参加者を残して。